モケットは“一生もののプレミアムクロス”です。新たにおこなった性能検査や試作から見えてきた魅力と、オリジナルブランド『WEEVER』についてご説明します。

Moquette's new brand logo
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モケットは主に新幹線や電車のシート、椅子の張地などに使われる耐久性に優れた織物です。ここではモケットがどのような織物なのかを解説し、性能検査や製品試作を通してわかった一生もののプレミアムクロスといえる理由をお伝えします。 そして米阪パイル織物㈱による新ブランド『WEEVER』をご紹介いたします。

目次

モケットとは、こんな織物です

モケットとは・・・パイル織物の一種。英語、仏語でmoquette。
化学繊維(丈夫なポリエステルが多い)やウールなどの毛足が短いカットパイルを布の片面だけに密に織り出したもの
織物としては最強レベルの強さを持ちながらも、ベルベットのような柔らかさと独特の光沢が醸し出す高級感から、生地の王様とも言われています。高野口地域は世界に誇る高品質なモケットの生産地です。

米阪パイル織物では、織物の構造を拡大した模型を使ってモケットがどんな織物かを説明しています。
モケットと平織(パイルがない平らな織物)と比べると全く違うことが分かります。

Comparison of moquette and plain weave

また、同じパイル織物でもモケットと毛布では織り方が違います。
モケットはパイル糸の密度が非常に高いため、糸が倒れにくく身体をしっかりと支えます。パイルがあることで、よこ糸とたて糸が摩擦から守られるので丈夫で長く使えるのです。
毛布はパイル糸が長く、しっかり織り込まれているので抜けにくく柔らかいのが特徴です。                      

Comparison of moquette and blanket

モケットの製造工程・・・織物の設計から始まり、糸の手配、糸染め、整経、糸建て、筬通し、製織、検反、後加工etcまだあるのか?くらい多くの手間と時間をかけてやっと出来上がり。そしてその高品質は、各工程での職人の高い技術力が支えていると言っても過言ではありません。

性能検査で改めてスゴさを実感

モケットは電車や新幹線、劇場などのシートに張るため、滑りにくく丈夫であることは分かっていました。が、あらためて繊維製品の性能検査、数値化する専門機関に当社オリジナルのモケットの検査を依頼。公共の場所や家庭で使うことも想定した項目で、ソファや乗り物に使われるファブリックや革と比較検査したところ・・・次のグラフをご覧ください。

Graph comparing fabric performance

・摩耗しにくい
・滑りにくい
・熱を伝えにくい⇒一年を通して接触感が変わらない
・引っ掻きに強い

など、使用時に求められる機能において、高い耐久性、耐摩耗性を持つことが認められました。平織の生地や革と比べても扱いやすく実用性が高い生地であるといえるのです。

製品試作は予想のナナメ上をいく結果に

モケットは糸抜け防止のために裏面に特殊な加工(バックコーティング加工)や毛足があるため、ミシンによっては縫いにくく細かい作業がしづらいので、製品として販売できるのはシンプルなクッションカバーくらいでは?と正直なところ、あまり期待していませんでした。ところが、職人さんたちの試作の結果は・・・それがコチラ↓

Various prototypes using moquette

クッションやスリッパはパーフェクト。トートバッグだけでなく、なんと縫製が複雑なデイバッグや縫ぐるみまで、しっかり仕上がっているではないですか。

モケットは電車やバスのシートの張地だけでなく、本当は暮らしの身近なアイテムにも使える汎用性が高い生地だったのですね。 (おそれいりました)

クッションカバーは楽天市場「こうやブランケット」で販売しています⇒https://item.rakuten.co.jp/koyablanket/mq-1/

モケットの特徴まとめ

all-rounder (オールラウンダー) 
独特の光沢が醸し出す高級感から、生地の王様とも言われるモケット。
実用性を兼ね備え、場所やシーンを選ばず使用できる万能生地です。

tough(タフ)
多くの人が使用する電車やバスの座席など、公共の場で多く採用されるほど、
生地の中でも耐久性や耐摩耗性に非常に優れています。

comfort(コンフォート)
通気性が良いので熱や湿気がこもらず一年を通して使えます。さらにホールド感もあるため、長時間触れていても快適に過ごすことができます。

●Ethcal (エシカル)
耐久性が高く、廃棄ロスを削減できるエコフレンドリーな生地です。
WEEVERでは再生素材の導入や、生産経路の安全性の確保にも取り組んでいます。

※エシカルとは
英語で、直訳すると「倫理的な」という意味です。一般的には、「法的な縛りはないけれど、多くの人たちが正しいと思うことで、人間が本来持つ良心から発生した社会的な規範」であると言えます。私たちが普及活動を行なう際の「エシカル」とは、根底には一般的な定義が流れているものの、特に「人や地球環境、社会、地域に配慮した考え方や行動」のことを指します。
(一般社団法人エシカル協会 ホームページより)

Ethical imagery

米阪パイル織物のモケットブランド 『WEEVER』 誕生

New brand "WEEVER" logo

WEEVER(ウィーバー)は、米阪パイル織物株式会社が提供するモケット生地専用ブランドとして2025年3月に誕生しました。

米阪パイル織物は高野口パイルのメーカーとして技を磨き、長年にわたりモケットの生産を続けてきました。織り手を意味する「weaver」、これまでを意味する「ever」を組み合わせたブランド名「WEEVER」には、これまでに培ってきた技術と伝統を活かし、お客様の新たなニーズや思いを積極的に形にしていくという意味を込めています。

Moquette weaving machine
Moquette weaver

終わりに

●モケットの良さをもっと知ってもらいたい

優れた特徴を持っているにもかかわらず、最近は目にすることが減ってしまいました。 パイル織物産地のメーカーとしては残念でなりません。

そこで数年前、身近なアイテムを作ってモケットを知ってもらおう!と一念発起。 『モケッシュ』と名付けたサコッシュを制作、販売したところ・・・思うような結果には至らず。
ただ、学んだことも多かったのです。この貴重な経験があって新ブランド『WEEVER』がうまれました。

●米阪パイル織物 デザイン担当者が実際に使ってみた

cat and sofa
cat and sofa

最後に、モケットのクッションカバーの使用感を記したいと思います。
これまでクッションカバーは飼い猫に爪を立てられ破れてしまったのですが、モケットは
引っかいた跡さえ残りません。猫は爪が掛からないのか?ついに引っ搔くのをやめました。
猫の毛が付きますがブラシ掛けをすると綺麗になりますので、お手入れも楽です。コーヒーを少しこぼした時も、さっと拭き取ればOKでした。 
(浸み込むまで少し時間がかかるから?)

今まで、モケットは「冬用」でメンテナンスに手間がかかる生地だと思っていたのですが、実際に使ってみると驚異的に丈夫で、夏も意外と快適です。

お値段はちょっと高めですが長く使えれば買い替えなくて良いので、コスパは悪くないし、ゴミを減らすことができてエコにつながる→これはもう「モケットはこれからの時代に求められている」と豪語してよいのではないかと、個人的には思っています。

そして、どうぞ米阪パイル織物のWEEVERにご期待下さい!
これまでの実績や技術、知恵を持ち寄り、これからは私たちからモケットの新しい価値をご提供いたします。 ぜひ、WEEVERのサイト をご覧ください。

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