【豆知識】睡眠の悩みを改善。毛布や寝具の「素材の特徴」に注目したおすすめを紹介

The relationship between bedding materials and sleep
It is important to know the material of your bedding.

良く眠れない原因の一つが寝具だったなんてこと、ありませんか。快眠のためには毛布やブランケットに使われる素材=繊維を選ぶことも大切。天然素材の特徴をもとに、敏感肌や冷房の冷え対策にお薦めの毛布をご紹介します。

目次

ぐっすり眠るための毛布を選ぶ⇒サイズの次は素材のチェックを!

毛布、ブランケットを購入する時に、どんなことをポイントにして選んでいますか?まず初めにサイズのことでしょうか。例えば、大人用ならシングルまたはダブルサイズ。子供はハーフサイズでOK。あまり悩まず、すんなり決まりそうです。

次は…カラーや柄ももちろん大事なポイント。

でも毛布・ブランケットをよく知る私たちとしてはぜひ「素材」に注目してほしいと思います。

なぜならそれは心地よく、ぐっすり眠れるか否か、すなわち睡眠の質を左右する重要な要素の一つだからです。

冬に使う場合は、見た目にあったかそうなモフモフしたもので、夏は薄地のサラッとしていそうなものを選べばいいんじゃないの?と思われる方も多いでしょう。

それは、おおむね正解です。が、もう少し踏み込んで素材のチェックをして頂くと、より満足できる毛布が見つかるかもしれません。

チェック方法はいたって簡単。

商品の下の方に小さなタグ(品質・取り扱い絵表示が記載されたタグ)が縫い付けられており、そこに小さい文字ですが『組成:○○○』と記されている、それが素材です。

(インターネットの販売サイトでも商品詳細などとして必ず記載されています)

さらにパイル織物の場合は、毛羽部分(もしくはパイル部分と表示される)に注目して下さい。身体、肌に直接触れる部分なので、睡眠時の心地よさに関わってきます。

毛布やブランケットの素材と言えば、天然繊維では綿、麻、羊毛、絹。合成繊維ではアクリル、ポリエステルが挙げられますが、それぞれ性質・機能性がかなり違うものなのです。

お肌が敏感だったり汗かきだったり、自分の体質や好みに合った性質を持つ素材を選べば、もっとぐっすり眠ることが出来るかもしれません。

素材の特徴を次の章でまとめていますので、季節やご自分に合う素材を見つける参考にしていただければと思います。

explain the tag

素材の特徴とお薦めの季節(一覧表)

毛布において心地よく眠るための重要な要素=保温性、吸湿放湿性、肌触り、洗濯性に注目して繊維の特徴を表にまとめました。さらにおすすめの季節を記していますので参考にして下さい。
※人それぞれで室内環境や体温、肌質が違うため感じ方も差が生じますので、目安としてご覧ください。

Relationship between fiber type and season
4 major natural fibers

夏も毛布・ブランケットを活用してエアコンの「冷え」対策

夏は寝苦しい熱帯夜が続きますが、身体に掛ける寝具はどんなケットをお使いですか?何も掛けない、あるいは接触冷感素材のケットを使われているのでしょうか?

日本の高温多湿な夏に最も適した素材は「麻」だと言えます。

麻は天然繊維のなかでも吸水、吸湿性と発散、放湿性に秀でており、さらに熱伝導性が高いので、身体と寝具の間に熱がこもりません。しかも丈夫なので家で洗濯ができるので汗をかいてもジャブジャブ洗って干せば、すぐに乾く、のでいつも清潔を保てます。

ところが・・・

年々暑くなる夏。熱中症対策のため就寝中もエアコンを使うようになると、麻や接触冷感素材では「かえって冷えて眠れない」という問題がおきるようになりました。

その場合は、保温性があり調湿性が高いので蒸れにくい素材=綿やシルクを使ってみてください。

現在、米阪パイル織物では、2タイプの夏にも使える毛布(夏毛布)を織っていますのでご紹介したいと思います。

●karu-ket(カルケット)=綿100%・両面パイル織

その名の通り、とっても軽いパイル織毛布です。(従来の綿毛布の約6割の重さ)それだけでなく素肌に当たってもさらっさら。べた付き感なんてミジンもありません。でもパイルが作る空気層がエアコンの冷気はしっかり遮断してくれます。これは絶妙に設計された織密度とパイルの長さによって生み出されたものです。

Introduction to karu-ket

●fuwa-ket(フワケット)=綿100%・両面ガーゼ&インナーパイル織

どうしてもパイルが苦手な方に。両面ふわっふわのガーゼ、しかも畝があるので肌に当たる面も少ない毛布です。パイルはしっかり内蔵されて空気層を作っており、エアコンの冷気を遮断しています。

※空気は最大の断熱材。一般に重いものほど熱を伝えやすいとされています。重い物質の代表、金属やコンクリートは熱を大量に伝えますが、軽い物質の代表、空気は熱を伝えにくい性質があります。

Introduction to fuwa-ket

敏感肌や肌の弱い方は、肌ストレスが少ない素材=綿やシルクをお薦め

ぐっすり眠れない原因は様々ありますが、寝具の場合は暑さ寒さ、蒸れ感、重さに加えて肌ストレス(肌ざわりが合わない、肌への刺激や負担が強い)ということが挙げられます。

毛布やブランケットは首や顏、腕、足に直接触れるので、肌ざわりが自分に合うかどうかも選ぶ時に重要なポイントとなります。

素材の特徴表に記していますが、肌ざわりは素材によって違いがあります。例えば、一般に麻はサラッとして夏は心地よいと感じる反面、硬さが感じられる。

ウールは軽くて保温性や弾力性や吸放湿性が高いだけでなく、シックハウス症候群の原因の一つであるホルムアルデヒドを吸着するなど、優れた性質を持っています。しかし繊維の表面がうろこ状になっているため、人によっては刺激となるようです。

では、肌ストレスがより少ない素材とは?

それは綿とシルク(絹)です。

綿は繊維の直径は太いもので0.02㎜程度、柔らかく形状は全体に丸みがあるのですが、特に繊維の先端が丸いので、チクチクしない優しい肌触りが得られます。

あわせて読みたい:【豆知識】ブランケットに使われる繊維②: 綿の魅力とその理由
https://yyypile.com/pile/the-appeal-of-cotton-and-why/

シルクは非常に細い繊維なので、柔らかく肌触りがやさしいのはもとより、声を大にして伝えたいのは、人間の肌の成分と似た18種類のアミノ酸で構成されていることです。人の肌との関係からみると、他の繊維にはない最大の利点、安心材料だと考えられます。
触れた瞬間は少しひんやりするけれど保湿性が高く、ゆえに静電気が起きにくい。優雅な見た目の美しさだけでなく、実際に身に着けた時の心地よさが、昔から世界中の人々に「シルク、サイコー!」と言わしめたのかもしれません。

しかしシルク100%の毛布は、人の肌にはサイコー!であっても、ポリエステルや綿に比べると価格が高く、お洗濯は基本的にドライクリーニング推奨で取り扱いに気を遣います。残念ながら購入には二の足を踏んでしまうこともあるでしょう。

そんな方には肌への負担が少ない綿とミックスして織られた毛布をお薦めします。

ではなぜ、ミックスが良いのか?次の章でしっかりご説明したいと思います。

理想的な綿50%・シルク50%のパイル織り毛布

肌の弱い方や敏感肌のかたには、綿とシルクを1対1の割合で織り上げたパイル織毛布をお薦めします。

理由は、綿とシルクの長所による相乗効果が得られるから。保湿性・吸湿性・放湿性に優れ、静電気が起きにくいといった特徴があり、綿の扱いやすさがシルクの繊細さを補って自宅でのお洗濯も可能となっています。もちろん冬も夏も体温に合わせてほど良く保温できるので、一年を通して使えます。

Characteristics of blankets made from a combination of cotton and silk

※シルクの吸・放湿性は綿の1.5倍。乾燥を防ぎ一定の湿度を保つことが出来るので肌にとって大変良い環境になる。

※綿にシルクの柔らかさが加わることでより一層、肌触りが優しくなる。しかも軽い。

※シルクが同じ割合で織られていることがポイント。

Introduction to silky mayu-ket

弊社では綿50%シルク50%の毛布も制作。シルクはデリケートな素材ゆえ製織も難しいのですが、以前からシルクを扱ってきた経験から品質の高い製品をご提供しています。

シルクのウンチクを少々・・・

さいごにシルク(絹)のウンチクを少々。

「繊維の女王」と言われるシルクの原産地は中国。養蚕はすでに先史時代から行われていたと考えられていますので、麻に次いで人との歴史が長い繊維です。古くシルクロードの西域諸国では、通貨や贈答品として大変貴重なものとされていましたが、今日でも高級素材として揺るぎない地位を保っています。

シルクは大きく野性または山野飼育の蚕による野蚕絹と、屋内で桑の葉を食料とする人口飼育の家蚕絹があります。流通している多くは家蚕絹で優美な光沢があり半透明そして非常に細く長いのが特長です。(1200~1500mの1本の糸)野蚕絹にはゴールデン・ムガと呼ばれる黄金色の光沢を持つものもあり最高級絹糸として扱われています。

蚕がサナギとなり成虫になるまでの期間、外敵や雨風、紫外線などから身を守るために2000m近くもの糸をひたすら吐き続けて作ったシェルターが「繭(英語でコクーン)」です。絹糸はそのマユをゆでながらほぐし元の糸状にしたもの。蚕に感謝して大切に使いたいですね。

日本では明治時代になって富岡製糸場(現在は世界遺産)が設立され大量生産が実現、明治42年に世界一の生糸輸出国となりました。(昭和初期までは輸出品の中心)

シルクの独特な光沢と滑らかで柔らかな肌触りは、現代の科学をもってしても人工的につくることはできていません。しかし科学的なアプローチが進み、医療、化粧品や食品などにも応用され活用の幅が広がっています。

Silk fiber structure

まとめ

2023年の夏は実に暑く、そして長かった。日本は四季ではなく、二季の国になってしまうのかと思うほどでした。

気候変化の対策として、エアコンの使用が勧められたり、断熱効果を高めた建物(家)も増えつつあることなどから、屋内は一年を通してあまり温度差がなくなっているようにも感じます。

寝具もかつてのように夏は涼しく冬は暖かく、といった分かりやすい方程式ではなく、加えて個人の体質や好みも考慮したいとなると・・何を使えば良いのやら⁇

困った時は、選ぶ時の判断材料として素材の特徴を思い出して頂ければ幸いです。
寝具だけでなく、肌着や洋服を選ぶ時にも役立つこと間違いなし!

良い睡眠は心身の健康維持に欠かせません。ぐっすりと休んで元気になるためにも、ぜひ「素材」のチェックをしてみてください。

繊維はナノ、ミクロの世界から宇宙まで応用される素材。化学繊維だけでなく、天然繊維についても研究が進み、私たちの暮らしに有益な新事実が発見されています。

当たり前のようにあるモノですが、私たちはファクトリーとして新しい情報を得て今一度その良さを見直し、より暮らしに役立つものにしていきたいと考えています。

●カルケット、フワケット、シルキーマユケットの詳細はこちらから→
https://www.rakuten.co.jp/koyablanket

The relationship between bedding materials and sleep

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